2024年8月ごろから複数の人(メインは一次創作のひとびと)と文体の舵を取れのワークショップをやっている。二次創作へてろえっち文章書くやさんおれだけ???環境なうえほとんど知り合いはいない(開始時)。完全に武者修行である。どこに記録するか迷ったけれど、ここに適宜思い出したときに再録します。
1章
問1 ──文はうきうきと
私が小学生だったとき、法事でお寺に連れて行かれたことを未だに覚えている。坊主が剃りたてつやつやの丸い頭をこちらに向けてお経を唱えていた。参列している私達は神妙な顔でポクポクと木魚を坊主と同じリズムで叩くんだ。偲ばれているはずの婆さんには悪いけれど、私は婆さんと面識も無ければ、学校では毎朝マリアさまを讃えていたから意味もわからくて、完全にこの法事は真似事でしかなかった。ポクポクと耳馴染みのない音が一定のリズムで叩かれる。パパもママもおじさんもみんな目を伏せて、じゃらじゃらと数珠を握って念仏をめいめい唱えていた。私だけ何もわからないから木魚を叩く以外にできることなんてない。そのうちポクポクとナムナムの間をねこがするんと通りぬけて、暗いところで佇む仏像にふかふかした腹を見せていた。もしかしたら毎日お経を聞いているねこのほうが、私よりもよっぽど婆さんのことを偲んでいたかも知れない。そういえば、遺影の彼女はたっぷりしたきつねの襟巻きを巻いていた。
メモ:半分くらい実話
問2 一段落くらいで、動きのある出来事をひとつ
いつのまにか郵便が何時くらいに家に来るかなんて覚えてしまっていた。ポストに何かが来る十五時過ぎに家を出る。ここ一週間毎日そういうことをしていた。正直なことを言えばこんなこと意味がないってわかっていた。でもそうするしかなかったのだ。当然前期のテストの手応えなんて散々だ。成績表の隠蔽を始めて三回目にして、ついに留年を意識している。いつもの時間に窓の外からバイクの音がして私はひっそり外に出る。玄関を出てポストを開けるとそこには大学のロゴのはいった薄い封筒が落ちていて、私はそれを静かに抜き取って鞄の中に突っ込んだ。そのまま早歩きでコンビニのほうに向かって、途中の公園でたまらなくなって鞄の中の薄い爆発物を開封する。そこに踊る暗号は優、良、可、不可、不可、可。震える指先で不可以外の数を数える。十を超えたら何個数えたか忘れてしまった。後期どれだけ取れば進級できるだろう。成績表のはじっこが手の汗でよれている。不可も可ってついているんだから単位になればいいのに。
メモ:熱い留年に対するリアリティライン。